鹿島学園事件勝利和解解決
鹿嶋市にある私立鹿島学園高校をめぐる不当労働行為事件について,その主な紛争が2004年9月,和解で解決しました。
本事件は,学園の方針に反するとして組合員である先生方のクラス担任を外したり,授業持ち時間を大幅に減らしたり,さらには賞与(ボーナス)を極端に減らしたりして攻撃を加えてきたものです。組合は,当初団体交渉を申し入れ,できる限り話し合いで解決しようと努力してきました。しかし,学園理事長は誠実に対応しようとせず,やむなく2001年9月に組合が茨城県地方労働委員会に対して,不当労働行為を理由に救済申立を行ったのです(その後もそれぞれの賞与差別などを問題にして四次まで申立。)
3年にわたり地労委で審理されてきましたが,2004年2月には,第一次から第三次申立に対して,組合の主張をほぼ受け入れて,学園に,クラス担任外しや授業時間の削減をして組合委員の不利益取扱をしてはならないとの命令が出されました。また,賞与についても,他の教職員に支払われた平均支給月数との差額を支払えとされました。
学園は,一方ではこの命令に不服申立などをせず受け入れるような姿勢を見せながら,他方で残っている事件の審理で争う姿勢を見せていました。しかし,学園のこのような姿勢は組合や社会から強い批判を招き,とうとう2004年4月に,学園側から和解の申し入れがなされ,和解が成立したものです。
和解内容は,当然のことながら,学園が地労委の命令を誠実に履行することを確認した上で,組合員であることを理由にクラス担任や授業持ち時間の決定にあたって,不利益取扱をしないとし,さらに授業持ち時間などの決定については教科会における民主的な話し合いによって決めるよう指導を徹底するとしています。また,賞与につついても,学園は,平均支給額との差額を支払うとしており,勝利和解の内容となっています。
このように,この和解成立で,組合の主張の正しさが改めて明らかとなりました。
今後も皆様の力強い支援をお願い致します。
(弁護士 五來則男)