東海村焼却施設等許可処分取り消し訴訟で不当判決!


 3月1日、水戸地方裁判所は、株式会社大豊プラントが東海村に建設を予定している産業廃棄物処理施設(焼却施設、破砕施設)について茨城県が行った設置許可の取り消しを求める行政訴訟において、周辺住民らの請求を却ける不当な判決を下しました。

 大豊プラントが許可申請のために提出した書類には、焼却炉の構造が相互に矛盾する図面が含まれ、そもそもどのような構造を有する施設であるのかが書類上明確でないという、たいへん杜撰なものでした。にもかかわらず、県は、矛盾する図面を訂正させることもなく、関係者から話を聞いただけで、許可処分を行ってしまいました。

 今回の訴訟の中では、そのような杜撰な県の行政の実態や、計画している焼却炉には様々な技術上の問題点があること、ダイオキシンが発生すれば、原告ら周辺住民に影響を及ぼすことは確実なこと、既に操業している同型炉で問題が生じていることなど、専門家の協力や原告団の努力により十分に明らかになったものと考えています。
 本件処理施設建設予定地の周辺は、多くの住民が住むだけでなく、干しイモやブドウなどの生産も行われている自然豊かな地域であり、ひとたびダイオキシンが拡散すれば、甚大な影響が生ずることは避けられません。この計画には、原告ら住民だけではなく、東海村の村長も、東海村議会も、反対であることを表明しているのです。
 今回の判決は、そのような住民の切実な願いを一顧だにせず、極めて杜撰で住民無視の県の廃棄物行政を追認してしまったもので、到底容認できない不当判決です。

 原告ら住民は、控訴して闘いを継続する決意です。(追記 ※2013年3月13日控訴しました。)
 東海村の処理施設をめぐっては、建設の差止を求める訴訟も水戸地裁になお係属しています。
 東海村住民のいのちと健康を守り、豊かな自然を子や孫の世代に残すための原告ら住民の闘いに、引き続きご支援をいただくよう、よろしくお願いします。


2013.6.6(弁護士 安江 祐)


東海焼却炉差し止め裁判

東海焼却炉差し止め裁判


 私の住む東海村に民間(㈱大豊プラント)の産業廃棄物焼却施設が計画され、地域住民や村、村議会がこぞって反対しているにもかかわらず、茨城県は2007年6月に建設計画を許可してしまいました。
 
 計画地は民家に隣接し,高台に団地が,反対側には美田が広がる低地です。動植物性残渣、感染性産廃(医療廃棄物など)を含む8品目を破砕・焼却処理するというもので、排ガスや施設排水などから重大な健康被害が危惧されます。東海村はおいしい米と干し芋やぶどう,梨などの名産地です。1999年にJCO臨海事故を体験した私たちにとって,これ以上の住環境の悪化や風評被害は耐えられません。
 
 
 2007年8月に当事務所の安江・五來弁護士とつくば市の坂本弁護士を招いて建設反対の住民の会を結成し,その後学習会や反対署名集め,看板設置,県への要請などを行ってきました。
 
 しかし,県は計画地が『工業専用地域』であるから住民の同意は要せず「法に則って許可せざるを得ない」との態度を崩しません。そのため,住民の会は同年11月に再度総会を開いて県の許可取消をもとめる行政訴訟と業者に対する建設差止仮処分申立を行うことを確認し,同年12月19日に行政訴訟を提起しました。
 
 業者は産廃業の経験もなく,全額借金で事業を開始し,収支計画では売上の7割以上を医療廃棄物の処理で予定しています。専門家からは構造計算や環境影響予測のずさんさが指摘され,予定していた焼却炉のメーカーは倒産中,説明会でも住民の質問にもともに答えられないなど,全く信用できません。県がまともに審査したのかどうか大いに疑問です。
 
 美しい東海村の自然,きれいな水と空気を子々孫々に伝えるために,裁判で県や業者の不実を明らかにしながら,世論と運動を広げて何としても建設を阻止する決意です。
 皆様のご支援を心からお願いします。

                                           (事務局)




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