先物・金融取引被害
先物・金融取引は,ハイリスク・ハイリターンであるため一般人が取引に関わることは控えるべきとされます。しかしながら,悪質仲介業者が,電話勧誘や訪問をして,「必ず値上がりする。絶対に損はしない」などと断定的な説明を行なって多額の資金を提供させ,一時的に利益を出し,その利益をすべて出資に回させ,結局損が出るまで多数回の取引を行なわせ,損が出ると追証金の提供を求めるなどして,出資者の出資金が底を突くまで取引を継続させ,その過程で多額の取引手数料を稼ぐという古典的な手法による先物・金融取引被害が後を絶ちません。
このような先物取引以外にも,最近では取引対象物を,オプションやココロンドン等の貴金属,または未公開株,外国為替証拠金などの金融商品に広げ,儲け話を餌に被害を広げております。
当事務所では,このような儲け話にのってしまい損害を受けた被害者の方から依頼を受けて,相手方の勧誘方法や取引情報の伝達,また取引手法等に問題のある事案については,相手方に対して損害賠償を求め,一定の損害回復をはかる事件を受任して対応しております。
儲け話に騙された自分を責めるだけではなく,弁護士に相談の上で,相応の被害回復を試みることも重要です。特に退職金をすべてつぎ込んでしまった高齢者や借金をさせられてまで取引に引き込まれたような被害者の方などは,是非一度ご相談下さい。
費用
| 金銭または財産請求交渉事件 | 金銭請求または財産 請求訴訟事件 | 同控訴・上告事案 |
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着手金 | 請求金額ないし請求財産の3~5%程度+消費税 | 請求金額ないし請求財産額の5%程度 (但し,交渉前置事案は3%程度)+消費税 | 原審判決結果の内容を踏まえて控訴・上告着手金額及び報酬額につき,ご相談の上決めさせていただきます。 |
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報 酬 | 同10%程度+消費税 | 同額の10~15%程度+消費税 |
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翔の事件簿
ココ山岡信販訴訟全面解決
ココ山岡対信販訴訟は,1997年1月6日に倒産し破産申立を行ったココ山岡からダイヤ等を購入していた若者たち約9000人(茨城の原告は66名)が同年10月にクオーク等大手信販会社を被告として全国の地方裁判所に未払分のクレジット債務の不存在と既払金の返還を求めて提訴した事件でした。
信販会社を被告としたのは,ココ山岡営業マンから5年後には必ず買い戻すと約束され長時間執拗に説得されて根負けした原告らが,1992年ころには既にこのような買取商法が破綻することを知り得たにも関わらず,信販会社が利益を確保するため原告らにクレジット契約を組ませ,高価な貴金属を購入させてきたためで,信販会社はココ山岡と共謀して原告らを欺く違法行為を行ったという理由からでした。
その後,ココ山岡の旧経営陣が刑事訴追され真実が明らかになるにつれて,信販会社の加担の構造も明白になり,その結果,東京地裁を舞台に和解が進められました。
そして,2000年7月6日には未払となっているクレジットの支払義務がないことを確認し,破産届出債権を信販会社に譲渡することを条件に信販会社から既払いクレジット金の一部を和解金として返還するとの合意が成立しました。その後細部の詰めを行って11月10日に最終確認書が取り交わされ全国共通の和解が成立するに至りました。
この訴訟は大規模な全国的集団的な消費者被害訴訟となりましたが,全国の弁護士の努力と協力で約4年という短期間に被害者救済となる和解を成立させたものであり,高く評価できるものといえます。
(弁護士 佐藤大志)
茨城CCゴルフ会員権乱売事件のとりくみ
1991年7月末,高萩市に建設されていた茨城カントリークラブ(常陸観光開発株式会社)ゴルフ場の会員権が4万9000人もの多数の人に乱売されたことが新聞テレビで報道され,水戸弁護士会(現茨城県弁護士会)消費者委員会の委員を中心に急遽被害救済弁護団が結成されました。私はたまたま消費者委員会の副委員長であったことと,以前にも消費者委員会が主催した会員権商法の被害相談会で茨城CCの会員権購入者の相談を受け解約交渉の事件を担当していたことから,水戸弁護団の事務局となりました。
この事件は皆様もご存じのように会員の募集人員を正会員1830名,平日会員1000名の合計2830名と公表説明しながら,実際には4万9000人もの多数の人に会員権を乱売し,約1200億円の金を集めたというもので,豊田商事事件以来の大規模で,組織的詐欺事件であることが判明してきております。
このような中で水戸弁護団は2回の集団的説明会を開催し,現在までに約3000名の被害者の依頼を受け,破産申立,刑事告訴等の法的措置を取り,この事件の黒幕と目される丸西輝夫,水野健らに対する責任の追及をしてきました。
破産申立とこれに伴う財産保全の対応が早期になされたため,ゴルフ場のコースや施設等の財産の確保ができ一応の被害回復の目処がたち,今後は更に本件の関係者や会員権販売会社等に対する法的責任追及の方策が検討されております。この種の事件としては被害回復の程度が極めて高いと評価できると思います。
この事件の中で当事務所が果たした役割は大きなものでした。もちろんこの事件は水戸弁護士会(現茨城県弁護士会)の良心的弁護士や消費者事件に関心のある弁護士が多く参加しており全員の協力の結果であることは事実ですが,1000名を超える集団説明会の取り仕切りや約3000名の依頼者の管理や事務処理については当事務所の事務局がその中心にならざるを得ず,これなくして茨城CC事件の弁護団活動は成り立たなかったと思われます。その意味で当事務所がさらに広く皆様からの信頼を得ることができ,当事務所の存在の意味があったものと考えられます。
振り返れば豊田商事事件の際には弁護団さえ作ることが困難であり,霊感商法事件でやっと芽が出て,北茨城じん肺訴訟でこれが広がり,今回は全国的にも胸を張れる弁護団活動ができるまでになりました。今後も茨城県弁護士会の心ある弁護士や地域の皆様と連帯し協力しながら,人権や民主主義に係わる問題について責任のある活動をしていきたいと考えております。皆様のご協力と御支援を改めてお願い致します。
(弁護士 佐藤大志)