東海第二原発運転差止訴訟は、原告266名、原告訴訟代理人(復代理人含む)69名の陣容で始まった大型裁判です。同訴訟では、被告国に対し①設置許可無効確認、②原発使用停止を命ぜよ、との義務づけ訴訟、被告日本原電に対し、③東海第二原発を運転してはならない、との3つの請求を立てた裁判です。
多数の原告はこれまでの2回の期日のいずれにも法廷に入りきれないほど多数出頭し、大変な熱意で取り組んでいます。
第1回口頭弁論期日で、国は、東京・神奈川など本件原発から一定程度離れた原告について 原告適格はないとして却下を求める答弁をしました。福島第一原発事故により関東一円が大きな影響を受けた実例に照らせば、このような国の答弁は同事故の経験を全くふまえないもので、厳しい非難を免れません。原告ら代理人は、こうした国の答弁を厳しく批判しました。
また、日本原電は、原発の判例において、絶対的安全性は求められていないなどと答弁しています。これに対しても、原告らからは、福島第1原発のような事故は社会通念上容認できると考えるのか否か、と釈明を求めています。
大規模訴訟には常に伴う問題ですが、本件でも多数の原告が入廷できず、困っているという問題があります。裁判所は、別室でのテレビモニターでの原告の傍聴を拒否したばかりか、他の大規模訴訟でも確保されている程度の原告席を確保する努力を「防犯上の理由」から行っていません。第2回口頭弁論では、「あと9席パイプ椅子を入れて欲しい」と要請しましたが、後日、拒否すると回答をしてきました。
そればかりか、第2回口頭弁論で、裁判所は、福島第一原発事故によって原告らが被った損害の内容についての準備書面を陳述留保にするという異常な措置をとりました。これは、民事訴訟における弁論主義にも反する対応であり、このような形で原告の権利を十分に保証しないで公正な民事裁判がおこなわれるはずがありません。水戸地方裁判所に このような不当な対応を直ちに改めるべきです。
第3回口頭弁論期日では、福島第一原発事故で起きた悲惨な事例をふまえ、被害論について弁論する予定です。
2013.6.6(弁護士 丸山幸司)