県立日立二高の竹中洋子教諭は、2004年7月の土曜日に、学校で行う業者模擬試験の監督のため出勤中に交通事故にあい、後遺症が残りました。
公立学校の教員には、特別な法律や条例が適用され、時間外勤務をさせることができるのは、県条例で決まった、①実習、②修学旅行、③職員会議、④非常災害等の場合の「限定4項目」のみとされています。土曜日は休日なので、本来は勤務を命ずることはできないのです。
竹中さんは地方公務員災害補償基金茨城県支部(支部長橋本昌)に公務災害の申請をしましたが、認められませんでした。竹中さんは組合の支援を受けて、基金支部審査会への不服申立、水戸地裁に提訴、とたたかいましたが、地裁判決では「校長が職務命令を発令して監督を命じたものではない。」として敗訴。しかし、東京高裁で、逆転勝訴判決を勝ち取りました。
高裁判決は、模擬試験の実施を職員会議で決め、学校長が承認していること、監督の担当を実質的には拒絶できなかったこと等を指摘して、「学校長の支配管理下にあった」と認めたのです。
2013年1月、最高裁で勝訴が確定しました。教員は「限定4項目」にあたらない場合でも実際はたくさんの時間外勤務をしています。この判決はこうした場合でも公務災害となりうることを正面から認めた画期的な判決といえます。教員の勤務のあり方の見直しを迫るものとして生かしていくことが期待されます。
2013.3.26(弁護士 谷萩陽一)