えん罪・布川事件再審開始決定
特報! 最高裁で特別抗告棄却決定出る(12/15)
42年ぶりに裁判のやり直しが確定しました
年末も押し迫った2009年12月15日、最高裁決定「特別抗告棄却」の第一報が届いた瞬間、わが事務所は喜びに沸き返りました。待ちに待った勝利決定でした。
事件発生から42年。29年の投獄を経て、仮釈放されてから13年目。逮捕当時20才と21才の若者が既に62才、63才となって、ようやっと再審の扉をこじ開け、無実が証明されようとしているのです。
この事件ではそもそも検察庁に特別抗告を申し立てる資格があるのか、が何よりも問題でした。30数年も隠し続けてきた「死体検案書」「毛髪鑑定書」「アリバイ証言」「現場付近目撃者証言」等々の警察・検察の手持ち証拠が第一審に提出されていれば、桜井昌司さん、杉山卓男さんのふたりが有罪になることはなかったのです。また、「自白」の強要・誘導があったことが、2005年9月に水戸地裁土浦支部の再審開始決定で明白とされ、高裁でもこうした捜査方法が断罪されたのです。自白強要や証拠隠し、証拠のねつ造まで明らかになったのですから、検察庁は過去の事実に真摯に向き合って反省し、再発防止に努めるのが当然でした。足利事件同様、警察・検察はふたりに謝罪をすべきでしょう。
また、『やってない人間が自白するはずがない』として無期懲役刑を確定させた最高裁判所が、自らの判断の誤りを認めるのにこれだけの時間を要したことに、あらためて現在の裁判制度の問題点を指摘しなければなりません。裁判員制度が始まり、司法への国民の関心は高まっています。名張事件をはじめ、最高裁の判断を待つ他のえん罪事件でも、一日も早い公正な判断が待たれています。過去の過ちを検証することから改革の一歩が始まります。
そして、何よりも取り調べの可視化、証拠開示など、二度とえん罪を生まない刑事司法制度の確立が必要でしょう。
最後に、これまで様々なご支援・ご協力をいただいた皆さまのお力が、この歴史的な勝利決定をもたらしたことは間違いありません。心から御礼申し上げますと同時に、再審公判で無罪が確定する日まで、今後も見守っていただけますようお願い申し上げます。