弁護士 木南 貴幸
今回は、最近何かと話題の「ブラック企業」についてとりあげたいと思います。
最近では、昨年に続き「ブラック企業大賞」が発表されたり、「ブラック企業被害対策弁護団」が結成されたり、ブラック企業のバイト版である「ブラックバイト」という言葉が誕生したりして社会問題化していますので、聞いたことのある方も多いと思います。
ブラック企業を正確に定義することは困難ですが、ざっくりと言うと、「労働者を酷使し、選別し、使い捨てにする企業」の総称で、大量採用・大量離職を生み出す新興産業に特に当てはまるものと言えるでしょう。
先日、私は、NPO法人POSSE代表で「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」(文春新書)等の著者である今野晴貴さんの講演会をお聞きする機会がありました。
その中で特に興味深かったのは、ブラック企業の見分け方についてです。とりわけ、就職活動中の方々においては、ブラック企業は避けるべき就職先ということになると思いますので、就職活動の際にブラック企業をどのように見分けたらよいかが非常に重要となります。
そこで、就職活動の際にブラック企業を見分けるポイントをご紹介します。ポイントは以下の3つです。
① 離職率の高さ
② 説明の変遷
③ 労務管理
①離職率の高さは、分かりやすい指標の一つです。
当然離職率が高い企業は要注意ということになりますが、「就職四季報」等で同業他社と比較する必要があります。ブラック企業と噂される企業の中にはNA(無回答)の場合もありますが、離職率について回答が無いこと自体から、良い数字ではないことが予想されます。
②説明の変遷とは、企業の説明会や面接が進んでいく中で、当初の契約内容・労働条件の説明に変遷があるということですが、このような場合には要注意といえます。
③労務管理については、長時間のサービス残業や有給休暇の消化率の低さ等に注意する必要があります。企業の労務管理の状況は外からは知ることが難しい部分ではありますが、学生の場合には、各大学のキャリアセンター等に企業ごとの具体的な情報が蓄積されている場合が多いということなので、活用してみると良いと思います。
以上、参考にしていただければ幸いです。
いわゆるブラック企業に限らず、残業代の不払いや執拗なパワハラ・セクハラなどの労働問題は、法的な解決ができる可能性が十分にありますので、このような問題でお悩みの方は是非一度ご相談に来ていただきたいと思います。