茨城CCゴルフ会員権乱売事件のとりくみ

 
茨城カントリー事件のイメージ
 1991年7月末,高萩市に建設されていた茨城カントリークラブ(常陸観光開発株式会社)ゴルフ場の会員権が4万9000人もの多数の人に乱売されたことが新聞テレビで報道され,水戸弁護士会(現茨城県弁護士会)消費者委員会の委員を中心に急遽被害救済弁護団が結成されました。私はたまたま消費者委員会の副委員長であったことと,以前にも消費者委員会が主催した会員権商法の被害相談会で茨城CCの会員権購入者の相談を受け解約交渉の事件を担当していたことから,水戸弁護団の事務局となりました。


  この事件は皆様もご存じのように会員の募集人員を正会員1830名,平日会員1000名の合計2830名と公表説明しながら,実際には4万9000人もの多数の人に会員権を乱売し,約1200億円の金を集めたというもので,豊田商事事件以来の大規模で,組織的詐欺事件であることが判明してきております。


  このような中で水戸弁護団は2回の集団的説明会を開催し,現在までに約3000名の被害者の依頼を受け,破産申立,刑事告訴等の法的措置を取り,この事件の黒幕と目される丸西輝夫,水野健らに対する責任の追及をしてきました。


  破産申立とこれに伴う財産保全の対応が早期になされたため,ゴルフ場のコースや施設等の財産の確保ができ一応の被害回復の目処がたち,今後は更に本件の関係者や会員権販売会社等に対する法的責任追及の方策が検討されております。この種の事件としては被害回復の程度が極めて高いと評価できると思います。


  この事件の中で当事務所が果たした役割は大きなものでした。もちろんこの事件は水戸弁護士会(現茨城県弁護士会)の良心的弁護士や消費者事件に関心のある弁護士が多く参加しており全員の協力の結果であることは事実ですが,1000名を超える集団説明会の取り仕切りや約3000名の依頼者の管理や事務処理については当事務所の事務局がその中心にならざるを得ず,これなくして茨城CC事件の弁護団活動は成り立たなかったと思われます。その意味で当事務所がさらに広く皆様からの信頼を得ることができ,当事務所の存在の意味があったものと考えられます。


  振り返れば豊田商事事件の際には弁護団さえ作ることが困難であり,霊感商法事件でやっと芽が出て,北茨城じん肺訴訟でこれが広がり,今回は全国的にも胸を張れる弁護団活動ができるまでになりました。今後も茨城県弁護士会の心ある弁護士や地域の皆様と連帯し協力しながら,人権や民主主義に係わる問題について責任のある活動をしていきたいと考えております。


(弁護士 佐藤大志)

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